月曜日, 10月 25, 2010

チリの落盤事故

遠い遠い国で、そして地下の中に閉じ込められた人たちの救出。南米チリの鉱山事故。地下700mに閉じ込められた33名の作業員たち。救出までの70日をどう生き抜いたのか、それを報じたテレビ番組をみた。

不幸中の幸い。救出されたことはとても素晴らしい。


思うに、今日は人のみ明日は我が身。教訓を学び取ることが大事だ。

テレビで報じていた内容を記録しておこう。

個人的に感じたポイントを、まず最初に列記してみる。


  1. 危機における対応1・・・状況の把握、さらなる危機の予測、当面の安全を実行する。
  2. 孤立した集団の試み・・・外部にその危機の状況を知らせる。
  3. 孤立した集団のルールづけ・・・集団が長く生きながらえるよう、食料の配給制度の確立と消耗の回避
  4. 生きることへのモチベーション・・・家族への思いと家族の働きかけ、
  5. 孤立した集団の心理・・・最初は絶望。諦観。当初は、一致団結していたが、一方、救助物資が届くころから「欲」がでて、いさかいも発生。救助をまつまでの時間、いさかいの心を制するのに宗教(神)がいさめる。
  6. 孤立した集団の戒律・・・生きる見通しがついた後、仕事のための8時間、余暇の8時間。そして宗教的な儀式を日に二回。
  7. 救出する側の試み・調査・・既存資料(地図)の分析から手段を選択。複数の試みを同時に進行し、人命の危機の全様を一刻も早く把握する。
  8. 救出する側の試み・技術・・自分の手の内にとらわれないこと。有効な手段は国境を越えて実行する。
  9. 救出する側の試み・体制・・二重遭難の危機などの回避。トラブル対応、トラブルを予測しての対応。チームワークの形成。
  10. 救出される側の参加・・救出する活動に、される側の活動を参加させる。感情を考慮しながら、緻密なよみが必要。


以下番組の概要。


8月5日地下400mで突然の落盤事故が起こった。事故が起きたのはサンホセ鉱山 金や銅を生産する鉱山。200年前から掘削が始まったこの鉱山では鉱道が網の目のように走っている。

銅の産出量で世界一を誇るチリでも、有数の鉱山の街。人々の多くが鉱山に関れする職についている。
事故が起きたサンホセ鉱山360人が働いていた。
200年近く彫り続けているため、鉱道の長さは800m。


地下700mで、採掘作業をしていた33人の作業員の生死がわからなくなった。


70日後にようやく救出されるのだが、被災した方々は、深い絶望感を体験した。無事に帰れるとはだれも思わず、口数が減り死を意識するようになる。再び落盤するかもしれない恐怖。それは救出された後も心の痛みとして残る。

心の支えになっていたのは、家族からの写真や手紙。


地下の室温は30度を超えて、湿度は90%に達する。劣悪な環境に体調を崩す作業員も少なくなかった。とても暑苦しくて、酸素が少なく、動けば動くほど体力が奪われる。
閉ざされた空間での暮らしが長引くにつれ、いさかいもうまれた。
トラブルが増えたのはいろんな物質が届くようになってから、欲がうまれたからだ。

全員心をあわせて、神に祈り、不安な心を鎮めようとした。
「早くここから出られますように家族に会えますように」
神に祈ることで「生きたい生きたい」という思いが強まり、生き残れると思うようになったのだ。

奇跡の生還。生還した方の言葉、「自分が大切だと思うことをすぐに実行に移すべきだと学んだ。人生は何がおこるかわからない。娘や孫のために生きたい。」が印象深い



事故後、暗闇の中をさまよい、すこしずつ仲間が集まってきたという。ほこりが落ち着いてから坑道を登って落盤した場所へ行った。完全にふさがれていた。

石油をしみ込ませた布やタイヤをもやして煙を出したり、爆薬を使って音をたてたりもした。でも、無駄だった。どうしていいのかわからなくなりシーンとして誰もは増さなくなった。これからどうなるのか
助かる方法が見つからなかった。涙ぐみながら語る。


落盤は目がブロックという数十万トンがずりおちておこったと

33人はそれより深いところで働いていた。


爆薬を使って音をたてた。どうしていいのかわからなくて、シーン。
助かるのか?

地下700m。

先の見えない戦い。

食料の備蓄はわずか1日
ツナ缶14缶。サケの缶詰1個と豆の缶詰2個。それにビスケット。
配給となった。スプーン2杯のツナを1日1食。あがて2日ごと。二日スプーンに2杯。最後は3日に1食。水を飲んで空腹に耐える。しかし、飲料水はすぐに底をつくので、作業用の水を飲む。さびや水がまざっている。でも汗をかいていたので脱水を防ぐために飲むしかなかった。

温度30度、90%。過酷な環境の中で作業員は衰弱していく。骨が外に飛び出ているような状況。

5日後、地上からのドリルの音が聞こえる。が、何日たってもとどかず、なるようになれという気分。図面が悪くてそれているんだなと思う。泣く力も残っていない。
生きる気力を失いつつある作業員たち。考えていた家族のことだけだった。自分を待つ人のことを考えるとつらかったという。

地上に救いを求めることもできず、食料もない極限の生活が17日間続いた。

2010年8月22日、ドリルの先が顔を見せる。大きな喜びだった。
ドリルの先にメッセージをとりつけた

Estamos bien en el refugio los 33

「33名は避難所で元気だ」(←拙訳ですが・・)


救出組も歓声。地下と地上が細い穴でつながった。

肺炎を発症するものもあり、全員が10kg近く体重が落ちていた。奇跡的ともいえるぎりぎりのタイミング。

絶望から希望。地下の生活も変わり始めた。
直径10cmのつつを使って、食料や医薬品、生活用品も送られた。伝書鳩にちなんでパローマ(伝書鳩)と呼ばれた。地下での生活をとらえたいという人にカメラが送られた。

作業員が寝泊まりする避難所の周辺の映像。地上から送られたベッドの上に、組み立て式のベッド。ほとんどの作業員は上半身が裸で、暑さをしのぐ。

物資支給が始まり、暖かい食品も送られるようになった。

地下には3つの居住空間があり、3つにわかれて生活していた。レフヒオ(避難所)にランパ(緩やかな傾斜になっている鉱道、地上からの物資を受け取る。)、105という場所。
3つのグループに分かれ、それぞれのリーダーのもとで規則正しい生活。

一日のうち、およそ8時間は仕事の時間。危険な岩や、居住空間の清掃などそれぞれに割り当てられた仕事を行った。仕事の後の8時間は、自由時間。地上から届けられたプロジェクタを使ってサッカーを観戦。

事故から一カ月、生活が改善する一方で作業員同士のトラブルが増える。

原因の一つは、家族とのテレビ電話をめぐるもの。多くの人が使えるように、制限時間があった。話す人も順番を待つ人も不満を募らせた。いざこざの理由はテレビのチャンネル争い、家族と長く話したいとかそんなことだ。最初の頃はそんなことはなかった結束していた。トラブルが増えたのは、いろいろな物資が届くようになってからだ。人々の心に欲が生まれた。


政府の方針によって確実な見通しがたつまで、救出の時期は伝えられていなかった。
そんな時、33人の結束を呼びかけたのは、信仰心のあつい年長者。
毎日2回の祈りの時間を設けた。
作業員たちは、互いを思いやる気持ちを取り戻していったという。

お助け下さい。励ましてください。
落ち込んでいる者たちをよからぬ考えを抱いている者たちを。
われわれはこれまで仲間たちと争ったこともありました。
しかしいざという時には団結してきたはずです。
悪い心はここにおいていきましょう。
毎日顔を合わせて
われわれはしかしいざという時には団結してきたのです。
作業員たちは互いを思いやる気持ちを取り戻していったという。





毎日2回のお祈りが結束を固めた。毎日顔を合わせて結束した。皆がリーダーだった。みんなで一緒にやった。

会社への不満を語るものもある。もっとしっかりやらなければいけないはずなのに、補強についてはいつも会社ともももていた。会社のせいで補強を担当するエンジニアは何もしないままに会社を辞めていった。



事故発生から2ヶ月あまり。救出用カプセルが通る穴が貫通する。

事故がおきて70日。33人の結束と家族の支え。


33人が心をひとつにできた理由は、待ち続ける家族の存在とその家族からの様々な支えがあったからにつきる。家族の支えなしには、地下での苦しい日々を乗り切ることはできなかったと話して
これからの残りの人生を、家族とともに生きていこうという人生観にも結び付く作業員達に生まれたようだ。これに加えて、家族たちの支援抜きには今回の救出を語ることはできない。手紙や思い出の写真等を使って、作業員を元気づけるのに思いつく限りのメッセージを地下に送り続けた。劣悪な地下の生活を少しでも改善したいと地下との間で洗濯物をやりとりする家族の姿もあった。


生きて地上に帰るという意思と家族の支えそれなしにはなかったらだろう。

33人をすくった救出用カプセル、「フェニックス」

作戦の実行のためには、まっすぐな穴を掘る必要がある。
地下700mになると、穴をほると極めて難しくなる。


今回の事故ではおもさ数十万トンの岩石の崩落。地下への道は完全にふさがれた。落盤の危険があるため、爆弾で通路をあけることもできない。新たに穴をほるしかない。

直径10cmの穴で作業員の生存を確認した。

地図にもない網の目のような古い鉱道が行く手を阻む。

鉱道にあたると、周囲の岩盤の支えがないため、進む方向がぶれて穴がまがる。一度でもぶれると地下では大きなずれとなる。まっすぐに穴をほるのは極めて困難。

並行してほった穴は13本。事故発生から17日。その1本から作業員が確認された。

生存が確認された後に、続いて33人をどうやって救うか?

救出用カプセルが通れるように、直径70cmまで地下への穴を広げる必要がある。

固い岩盤が邪魔をする。鉄よりも固い岩盤が幾層も重なっている。細い穴を通してもそれを広げるには、高度な掘削技術が必要。チリ政府は、世界各国に打診。

アメリカの掘削機械の部品メーカーが応じる。先のとがったドリルを回転させるのではなく、複数のハンマー繰り返し岩をたたき、固い岩盤でも確実に彫り進めることができる仕組み。彫り進める旋回するのではなく、固い岩盤でも確実に掘り下げる。

思わぬところで事故。地下280mで部品が破損。あるいは、部品の一部が落下するという事故もあった。地下のほうは絶望的な気持ちにもなる。


救出チームは繰り返し部品を交換しながら24時間体制で掘削を続けた。

地下の作業員たちの指揮を高めるために、掘削作業に参加させた。
削った岩石を除去する作業にあたらせた。自ら救出作戦の重要な役割を担ったことで、前向きな気持ちになってくれたと思う。

掘削から35日。フェニックスが通れる穴が貫通。